減量手術は安全かつ2型糖尿病治療に有効(2009.7.23掲載)
米デューク大学医療センター(ノースカロライナ州)外科学副部長のEric J. DeMaria博士らは、減量手術に関する世界最大のデータベースBariatric Outcomes Longitudinal Database(BOLD)から約5万8,000例の情報を分析した。その結果、術後合併症の発症は10%ほどで、全死亡率は1%未満であることを確認した。最も一般的な合併症は、まだ分析が完了していないが、嘔気と嘔吐であった。
"途方もない咳"
一方、米バージニア・コモンウェルスVirginia Commonwealth大学(リッチモンド)外科学のJames W. Maher教授らは、病的肥満(BMI 40以上、もしくはBMI 35-40で2型糖尿病、心疾患、睡眠時無呼吸などの肥満関連疾患を伴う症例)で2型糖尿病を有し、減量手術で最も一般的な胃バイパス術を受けた患者177例の予後を追跡。患者の90%近くが術後1年目までに一度は正常血糖値への回復を経験し、患者の60%は5-16年後も非糖尿病状態(diabetes-free)にとどまっていることが明らかになった。
睡眠麻痺の写真
糖尿病状態に戻ってしまった患者の大半は、手術時にすでにインスリン依存性の重症糖尿病であった。食事療法と経口治療薬で糖尿病を管理できていた患者では術後も75%が非糖尿病にとどまったが、インスリン依存性だった患者ではその割合は30%で、手術や糖尿病が早期であるほど、糖尿病管理が良好となる可能性が示された。
また、米ニューヨーク大学医学部外科学Christine Ren准教授らは、別の減量手術法である腹腔鏡下胃バンディング術について、2型糖尿病で同手術を受けた95例を5年間追跡し、40%で糖尿病が寛解(remission)したことを明らかにした。
不眠症に引用符
残りの43%でも血糖値の改善が認められた。対象患者の空腹時血糖値は平均146mg/dLから118.5 mg/dLへ、HbA1c(糖化ヘモグロビン)は平均7.5%から6.6%へそれぞれ改善していた。BMIも平均46から35へと劇的に減少し、胃バンディング術が持続可能で意味のある効果をもたらすことが示された。
ASMBS会長のScott Shikora博士は、こうした知見について、「手術なしには減量に成功できない病的肥満患者には朗報である。過体重による2型糖尿病には、減量手術以外に糖尿病を寛解させる治療法はない」とその意義を解説している。
減量手術については、初期のころに術後合併症や死亡リスクが大きく喧伝されたため、患者やその家族、医師の間にはいまだに減量手術を恐れる気持ちが強いが、同会長は「この分野は劇的に改善され、20年前よりははるかに進歩している。ASMBSでも減量手術を行う医師や施設におけるトレーニングや患者ケアの標準化を進めている」と述べている。(HealthDay News 6月24日)
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