Φ はじめに
ようこそ、シニフィアン研究所へ!
日々、精神分析家として、心身の病、悩み苦しみを抱えた人々と向き合い、
ジャック・ラカンの理論を中心とする対話療法によって、
自ら気付き、運命を書き換え、仕合せになってゆくクライアントと共に
その喜びを共有しています。
精神分析を通じて、仕合せになってゆく多数のクライアントの姿を見て、
一人でも多くの方々に伝えたいと常々考えていますが、
非常にプライベートな内容であり、また守秘義務の観点から
なかなか症例として紹介できません。
そんな最中、あるクライアント(Aさんとお母さん)から一定の変更をした上で、
同じような悩みや苦しみを抱えている人の参考になるのなら
是非自分たちのことを伝えてほしいとの申し出があり、
その承諾の元に紹介することとなりました。
まずは、簡単に紹介します。
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Aさんは、小学校2年生から学校へ行きたくないと言い始め、
不登校となって引きこもり、中学生になっても行ったり行かなかったりする中、
過食・拒食・暴力・リストカットを繰り返しながらも、
高校へ進学すると言い始め、バイトもしながら6年かけて卒業、
その後、自分の力で就職先を探し、親元を離れて自立しました。
現在は、20代のオシャレを楽しむ明るく素敵なお嬢さんです。
そのAさんが当時の長い暗闇時代を振り返ってこう言いました。
「お母さんのお腹の中からやり直したかった。お母さんのお腹の中は、
最初、血の海だったけど、だんだん透明になって明るくなり、
最後は暖かい太陽の日差しが降り注ぎ、私は気持ちよく泳いでいました。
長い長い時間でしたが、私にはその時間が必要だったのです。
先生と出会っていなければ、きっと私は死んでいたと思います。」
Aさんが不登校をし、家に引きこもり、過食と拒食を繰り返し、
暴力、リストカットをしました。
その体重差は最高45キロだそうです。
スリムな大人の女性一人分の体重です。
お母さんは当時を振り返って
「何で、明るかったあの子が?」
「自分の育て方のどこが悪かったのだろう?」
「いっそこの子と・・・・」
「何度思いつめ、自分を責め、血の涙を流したかわかりません」
「ある日、骨と薄い肉と皮だけの娘の側に近寄ると何とも言えない臭いがしました。
きっとあれを死臭と言うのでしょう」
と語り
「分析と出会っていなければ、今頃は、私も娘も生きていなかったでしょう」
と結びました。
Aさんやその家族の辛さ、苦しみは言葉では語り尽くせないものでしょう。
それでも、同じような悩み、苦しみを抱えている方の参考になればと、
HPに掲載することを快諾してくれたことに深く感謝します。
続いて、内容の一部変更をし、Aさんと家族が歩んだ10余年の道のりを紹介したいと思います。
自分と向き合い、語ることによって、必ず仕合せの光が見えてきます。
そして、その光を目指して歩めば、必ず仕合せになります。
諦めずに、共に歩みましょう!
少しの勇気と決意があればよいのです。
興味や関心を持たれた方、質問や相談されたい方、
まずはこちらまで連絡ください。
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1)Φ 不登校、そして引きこもり
まず最初、Aさんのお母さんと出会いました。
そのとき、Aさんは小学校4年生ですでに「不登校児」でした。
もちろんAさんのお母さんは心配して、本やHPを読んだり、学校の先生に相談したり、
相談所へ行ったり講演を聞いたりしたそうですが、納得できず
悩んでいたところ、知り合いのクライアントの紹介で私の所へ来られました。
Aさんの家族は、会社員の父と専業主婦の母と3歳年上の姉の4人家族で、
特に大きな問題もなく、こく普通の家族です。
Aさんは、赤ちゃんの頃からごく普通の子どもで、特に何の問題もなく
スクスクと成長し、小学生になりました。
お母さんいわく
「赤ちゃんの時からよく寝て(サイレントベビー)、人見知りもしない、手のかからない良い子でした。」
このことが、後に大きな問題である事が分かってきました。
不登校になったのは、小学校2年生の夏休み明けからだったそうです。
・朝起こしても、なかなか起きない
・朝ごはんを食べたら、お腹が痛いと言ってトイレから出てこない
・頭が痛いと言う
こんなことが続いて、お母さんが学校へ送って行ったりなどの途中経過を経て
とうとう2年生の3学期から、まったく学校へ行かなくなりました。
昼夜逆転し、お風呂にも入らず、ゴロゴロばかりするようになりました。
出かけるのは、暗くなった夜、近くのコンビへ行き、
お菓子やアイスを買い込んできます。
時には、好きなものを山のように買い込んだこともあったようです。
☆ 不登校・引きこもりのキッカケは何だったのでしょう?
きっかけは、同級生の男の子から冗談で「ブタ」と言われたからだそうです。
小学生のAさんは、少しぽっちゃりしていたそうですが、
そんなに太っていた訳ではなかったのです。
確かに、言われたAさんは乙女心を傷つけられたことでしょう。
でも「それは、きっかけに過ぎなかった。学校を休む理由が欲しかったのです。」
とAさんは当時を振り返って言いました。