2012年4月18日水曜日

WAIS-III検査の結果について | OKWave


No.2です。

補足していただきましたので、下位検査の評価点のパターンに基づく分析を行ってみました。

その前に、最初の回答で書き忘れた点を補足させてください。

1.群指数
言語理解~処理速度の4つの指標は、群指数と呼ばれます。
IQと同様に、ある年齢グループの中で平均的な成績を取りますと、100になるようになっています。

IQ、群指数ともに、90~109の範囲が平均と評価され、統計学的には、この範囲に50%の人が含まれるように数値は換算されています。

IQを求めるのと同じく、いくつかの下位検査の評価点をもとに求められる指標です。
言語性IQ、動作性IQに比べ、これらの指標の方が、個人の能力をよく示していることが、実証的な研究からも明らかになっています。

質問者様の場合、言語理解のみが、統計学的に見てもはっきりと高いことがわかります。
言語理解や、言語表現、言葉を介して考える、推論するということが得意であり、しかも、この数値が82ありますので、健常者の平均範囲にほぼ近い能力をお持ちであることを示しています。

従いまして、群指数から見ますと、質問者様の場合、この得意である、言語理解、言語能力をうまく活かして、仕事や日常生活がスムーズに進むよう工夫するとよいと考えられます。

2.下位検査の得点パターンからみた特徴
さて、お知らせくださった、下位検査の評価点(SS、scaled scoreの略)の平均値を求め、その平均値とそれぞれの評価点との差を求めて、得意・不得意のパターン分けをして、そこから質問者様の能力(群指数よりも、さらに細かいレベルでの能力)を分析してみました(プロフィール分析と呼びます)。


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なお、評価点は、平均的な成績が10点となるように作られており、7~12が、平均範囲となります。

プロフィール分析の結果は、以下の通りでした。

・得意なことがら……言語概念、言語を用いた推理(思考)、長い言語反応、結晶性能力(経験や学習によって問題解決能力を身につけること)、常識、社会的理解
・不得意なことがら……抽象的な刺激の視覚による理解、モデル・手本を再構成する、数を扱う能力、視覚的な記憶
・知能検査や、普段の知的行動に影響する要因……集中力が弱い、知的好奇心が高い、努力する

いかがでしょうか?

3.検査所見のまとめ
1)言語能力は、言語理解の群指数から見て、平均に近い能力をお持ちです。また、質問者様の他の能力から見ても、高いものがあります。この点は、大学時代、「論文試験などで、記憶力にはとらわれないでいけたので、首席で卒業しています」という特徴とも一致しますので、間違いなく、高いとみてよいと思います。

2)他の群指数の結果から見ますと、知覚統合(視覚的な理解、空間認知、関係や意味の理解)、作動記憶(作業記憶ではなく、working memoryの訳で、作動記憶です;数10秒から数分の短期的な記憶であり、情報をこれくらいの短時間、記憶にとどめておいて、計算、文章の理解など心理的作業を行う能力を意味します、特に聴覚的、言語的な情報が対象となります)、処理速度(文字通り、心的作業を行うスピードです。特に視覚的な記憶を用いた作業を対象としています)の3つは、弱いものと思われます。
この辺りは、普段のお仕事や、日常生活からご覧になって、いかがでしょうか?


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3)評価点パターン(プロフィール分析)から見た特徴
・言語概念、言語理解、長い言語反応、結晶性能力、常識、社会的理解が高い、優れている;好奇心は強く、努力もする
・抽象的な視覚刺激・情報の理解は苦手、モデルや手本を再構成する(まねをして、作る)こと、視覚的な刺激・情報の記憶は苦手である
・集中力がない、ケアレスミスが多い

4)全体的な解釈
・WAIS-IIIで得られた結果からは、知的能力は、言語理解を除くと、平均よりも低く、軽度知的障害~境界線(平均と、軽度知的障害の間)のレベルにあると評価された
・しかしながら、この結果には、集中力の弱さや、ケアレスミスの多さによって、影響されている(低い方に結果が出るという形で影響されている)可能性がある
・集中力の弱さや、ケアレスミスの多さがあるとすれば、それは、ADDのような発達障害をお持ちであるか、それ以外の理由(何か心配事を抱えている、あるいは、可能性は低いものの、うつなどの精神疾患にかかっており、その影響を受けているということも考えられないことはない)があると思われる

以上のように考えられます。

5)追加のご質問について
したがって、追加なさった、2つのご質問については、以下のように考えます

>一般の方と、同じレベルで、できる分野はないのでしょうか?

・言語理解、言語能力については、平均よりやや低い可能性もありますが、明確に劣っているとは言い難いと考えられます。
それは、繰り返しになりますが、言語理解の群指数が82あるということと、大学時代は論文では遜色がなく、首席で卒業した。

>それと、私は知的障害者なのでしょうか? 精神障害者なのでしょうか?


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・数値的には、軽度知的障害~境界線のレベルですが、集中力の弱さ、ケアレス身の多さによって、本来もっていらっしゃる能力が適切に発揮されていないという可能性はかなりあると考えられます。
したがって、私としては、知的障害であるとは、断言しかねます。
精神障害がある可能性は、さらに低いと思います。


6)今後の方針、対策
・質問者様の中では比較的高い能力であり、また、一般の基準に比べても低いとは言い難い、言語理解、言語能力をうまく活用することをお考えになることが大切です。
・苦手な部分は、言語理解や言語能力を使って、うまくカバーすることをお考えください。たとえば、メモを取って、きちんと確認する習慣を身につけるなど。
・集中力が弱い点については、仕事や作業をなさるときの周囲の環境を整えることをお考えください。どのようなお仕事をしていらっしゃるかわかりませんが、デスクワークであれば、デスク周りに余分なものを置かない、極力、整理整頓を心がけるなどです。つまり、気が散らないようにできるようでしたら、なるべくそうしてみてください。
・また、ケアレスミスが多いということでしたら、一定時間ごとに、あるいは、作業の一区切りごとに確認を行う時間を設け、チェックリストのようなものを作成しておいて、すでに済ませた作業、仕事の内容をチェックしてみてはいかがでしょう?
・この点に関して、最近では、一般向けの発達障害の本がたくさん出ていて、そこに、苦手な部分、弱点をどう補うかについての工夫が示されていますので、一度そういう本をご覧になって、活用できそうな工夫があれば、是非取り入れてみることをお勧めします。
・必要であれば、検査を受けられた医療機関や、各都道府県が設けている「発達障害者支援センター」などで相談することも可能です。


以上、かなり長くなってしまいましたが、評価点のプロフィール分析結果も含めて、補足申し上げます。
極力、長所を活用し、弱点は長所などで補うことをお考えになり、質問者様が本来もっていらっしゃる能力がうまく発揮できるように、努力されてはいかがでしょう。
その努力も、単に精神論や、「気合いを入れる」というレベルではなく、ここにいくつか具体例をお示ししたように、具体的な方法をもって努力される方が、成果が見られると思います。
さらに、少しずつであっても成果が見られ始めれば、質問者様にとっては、よい循環パターンに入ることができ、より能力が発揮できる方向に向かうものと確信しています。

ご参考になれば、大変幸いに思います。

投稿日時 - 2011-06-28 20:56:09



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